• ホーム
  • 法華宗(陣門流)とは
  • 法華宗の行事
  • 法華宗寺院

仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

「えんまさま」について教えて下さい。

解説:布教研究所助手・見附市・如実院住職 田中隆寛

 

 えんまとは、梵語Yamaの音写で、閻魔王(閻羅王)のことです。死者の霊魂を支配し、生前の行いを審判して、それによって賞罰を与えるという地獄の王。いわば地獄にいる裁判官です。

  梵語自体の意味は、抑制、禁止、平等(死者の罪を明らかにして平等に判定する。この点が「嘘をつくと閻魔王に舌を抜かれる」に通じていると思われます。)です。

  もともとはインド神話やバラモン(インドの司祭者)の説く冥府(死後の世界)の神が、仏典に入ってきたといわれています。その中で閻魔王は地蔵菩薩の化身など、種々の説があります。

  日本での閻魔信仰は、中国の民間信仰を混入しつつ、大衆の間に地獄観の隆盛とともに浸透していきました。

  日蓮大聖人も閻魔王の存在を固く信じていらっしゃいました。閻魔法廷での裁判を真剣に恐れ、死後、地獄の責めを逃れるために、常にご自身の現世における生き方が仏法に背かぬよう、お題目を唱え続けられました。信徒にも死後の罰を受けないように、法華経を持ちなさいとくり返し強調していらつしゃいます。『信仰へのいざない』の五十三ぺージをご覧下さい。

  生死無常老少不定の境、あだにはかなき世の中に、但昼夜に今生の貯えをのみ思い、朝タに現世の業をのみなして、佛をも敬わず、法をも信ぜず。無業無智にして徒らに明かし暮して、閻魔の庁庭に引き迎えられん時は、なにを以てか資糧として三界の長途を行き、何を以てか船筏として生死の曠海を渡りて、実報寂光の佛土に至んや。『松野殿御返事』

  『法華宗おつとめ要典」の六十六ぺージには、次のようにもご教示下さっています。

  日蓮は日本第一の法華経の行者也。日蓮が弟子檀那等の中に、日蓮より後に来たり給い候わば、梵天・帝釈・四大天王・閻魔法皇の御前にても、日本第一の法華経の行者、日蓮房が弟子檀那なりと名乗りて通り給うべし。此の法華経は三途の河にては船となり、死出の山にては大白牛車となり、冥土にては燈となり、霊山へ参る橋也。霊山へましまして艮の廊にて尋ねさせ給え、必ず待ち奉るべく候。 『波木井殿御書』

  テレビ番組の嘘情報など、最近の世情に閻魔法皇もさぞお怒りかと存じます。大聖人がお示しになられたように、私たちはそのお裁きを重んじ、いつでも自らの行いを本仏のお心に照らし合わせていかなければなりません。 「我常知衆生 行道不行道(我常に衆生の道を行じ道を行ぜざるを知る)」『寿量品』

  嘘をついても全くの無意味です。心からの唱題受持あるのみです。

一覧に戻る

上へ戻る