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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

花祭りについて

布教研究所所員・鶴岡 本鏡寺住職 藤本典行


 四月八日はお釈迦さまが、この世に誕生なされた記念の日です。全国の多くの寺院で「花まつり」がおこなわれます。

  花まつりは、本来は釈尊降誕会の別名で、ほかにも灌仏会・仏生会・竜華会といわれています。それぞれ読めば字のように、灌仏会は誕生仏へ甘茶を濯ぐことに起因した呼び方であり、竜華会は釈尊隆誕の時に竜が天からやってきて香湯をそそいだという話にもとづいています。

  仏伝によると、白象が胎内にはいる夢をみて、受胎した摩耶夫人が、お産のために故郷に帰る途中のルンビニー園で急に産気づき、お釈迦さまをお産みになりました。象は聖なる獣とされています。ゆえにこの夢が悪かろうはずがありません。また、この時、浄飯王も摩耶夫人も三十五歳で、世継ぎの出生をなかばあきらめておられました。それゆえに、その時の喜びはたとえようのないものだったでしょう。

  お釈迦さまをお産みになった時に、天から竜が産湯のかわりに香湯をそそいでくれたといわれた情景にちなんで、花でかざった花御堂の中に誕生仏を安置して、香湯のかわりに甘茶をそそぐのが、この花祭りのしきたりになりました。

  また、誕生仏も、釈尊が生まれた時に、右手で天を指し、左手で地を指し「天上天下唯我独尊、三界皆苦我当救之」と唱えられた姿になぞられて仏像としてつくられました。

  お釈迦さまが誕生なされたことを「降誕」といいますが、なぜ、普通に誕生とはいわないのでしょうか? それは、お釈迦さまには生まれる前の世があるのです。仏の世界から、この世、すなわち娑婆世界という苦しみに満ち満ちた世界で、もがき苦しんでいる我々を救うために、人間の形で姿を現されたということに由来しています。

  それは、お釈迦さまが生まれる時に唱えられた言葉「三界皆苦我当救之」に表現されています。我々が住んでいる三界という世界(欲界・色界・無色界)は皆苦しみだらけである。欲界とは淫欲、食欲の二つの欲望をもつ生き物が住む領域で、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天を含みます。さらにその上の色界は物質的な制約をうけているとはいえ、淫欲・食欲をはなれた生き物の領域で四禅天、またさらに上に最上界の無色界といい物質的制約から離れた精神的な世界があります。いわゆる「三界に家なし」の三界であります。

  さて、生まれたばかりのお釈迦さまは、私(お釈迦さま)が当に之(我々)を救うと述べています。このことは、法華経の方便品第二に説かれている一大事の因縁にもよく表されています。すべての生あるものの成仏こそが、幼いお釈迦さまの宣言なされたこの世への出現理由の実現でありました。

  花祭りは、甘茶をそそぎながら、お釈迦さまの境涯に触れ、お釈迦さまの慈悲の心への深い感謝の心を抱く日であります。どうか本年も花祭りに参加し、お釈迦さまの降誕の情景をおもいめぐらしてみたらいかがでしょうか。

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