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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

お題目のこころ

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 一、正しい修行

 「仏のみ心は法華経なり、日蓮が魂は南無妙法蓮華経にすぎたるはなし」(経王殿御返事)

 私達、法華宗の者にとって、一番大切なことは、お題目を唱えることです。日蓮大聖人のお教えは、「唱題成仏」といって、お題目を唱え続けて仏に成るということにつきます。

 毎日我が家の仏壇に手を合せる。花やお水を上げる、お経を読む、お寺へまいる。これら法事仏事のすべてに、この「唱題成仏」の背骨がとおっていなければなりません。いや、生活のすべてが、お題目の心でつらぬかれることによって、はじめて私達がこの世に生れて来たこと、数十年間の人生を送ること、又ついには死を迎える。この一生が本当の意味をもってくるのです。

  二、お題目でなぜ仏になれるのか

 お釈迦さまは、ご一代の間に八万四千の法門といって、沢山の教えをお説きになりましたが、末法に生きる私達を救済する唯一の教えを妙法蓮華経のお題目の修行としておさづけ下さいました。病気が重いと強い薬がいるように、人間のたましいにとって最悪の時代である末法には、やはりそれに合う救いがなければなりません。

 お題目には、お釈迦さまご一代の御功徳がことごとくこめられていますが、第一には仏さまのおさとりをあらわしています。一つとして欠けるところのない御功徳と永遠の生命をうらづけるおさとりです。第二はそのさとりの心は、私達すべての人々の心の底にも、そなわっていて(仏性といいます)それもお題目としてあらわされています。

 善人も悪人も、かしこい人も根性まがりの人も、すなおな人にも、どんな人にも心の奥ふかい所に仏さまのさとりと同じ心が宿っていますが、悲しいことに折角の宝も、心の奥底におしこめられ、眠ったようになっていて、持主の自分ですら、そんな尊いものをもっていることに気づかないでいるのです。これは言葉ではなかなかわかりにくいことですが、お題目修行の体験をつんでいただきますと、きっとおわかりになると思います。だから妙法蓮華経というのは、本仏さまのおさとりであり、又自分の中の「仏の心」でもあるわけです。

 そして「南無」を日本語にしますと、「帰依」ということで、落つく所へ落ついて心がゆったりすること、或いは「おまかせします」「一つになります」という意味もあります。

 おしこめられていた、自分の中の「仏の心」がお題目の声に、よびさまされてだんだん元気になっていく、さらに困難をのりこえながら唱え続けると、ついには仏さまのさとりと一体になる程の力を持つようになる。そうなると心は落つく所へ落ついて、どんなことにも恐れない安らぎと、生きていることの限りない喜びがわいてまいります。この道すじで私達は、お題目による成仏の道を歩むわけでございます。

 仏さまは、久遠の本仏さまをもととして、三世(過去、現在、未来)に沢山の仏さまがいらっしゃいますが、どの仏さまも妙法蓮華経のご修行によって成仏なさいました。この事実は私達にかぎりない希望を与えるものでございます。身近なところに自分達にも、仏になれる道が開けているというわけであります。だがここで注意しなければならないことは、お題目修行が、あまりに身近なものだから、本当にこれで仏になれるのか、仏さまもこれだけで成仏されたのかと、疑いをもつことです。

 しかし我が身を修行の中へ投げこんで、精進された方は必ずお題目修行の奥深さをつくづくお感じになることでしょう。素直な心、やわらかな心で、このことを受け止め体験の中で自分の体で事実を確めていかなければなリません。  

  三、お題目の唱えかた

 お題目は、ただ一度「南無妙法蓮華経」とお唱えしただけでもお功徳はあります。しかし唱題三昧(お題目三昧)という言葉がありますように、百返、五百返、千返と自分で予定の数をきめて、珠数でかぞえたり、或いは、お線香が一本とぼる間ときめて、唱え続けますと、気持がしだいに澄んでまいります。にごった水も静かにしておくと、ごみが沈んで澄んできます。そうすると水の中が、ずっと見通せるように、私達も唱題三昧を続けると、心の垢が落ちて、今まで見えなかった自分の心の中の、いい所、悪い所がいろいろ見えてまいります。そのため、時には己れのみにくさに、どうしようもない恥づかしさをおぼえたり、或いは絶望感におそわれることもあるかも知れません。しかしどんな時も、お題目は私達をじっと見守っていて下さいます。いつも希望をもって唱え続けるならば、必ず本仏さまの、ふところにいだかれた安らぎと、人々と共に、この世を築いて行こうという活力にみたされることでしょう。

 信心は体全体で飛込んで、はじめてわかることでございます。とにかく行動をおこして下さい。

 先づ御本尊さま(十界の御マンダラさま)に合掌いたします。太鼓をたたく方は太鼓をもちます。珠数でかぞえる時は珠数をもちます。御本尊の中の心のお題目のお姿は、本仏さまのかぎりない生命力の輝きをあらわしています。このおいのちと自分のいのちが一体なることを念じます。そしてご本尊さまのお題目を見つめるか、又目をつぶる方は、そのお姿をまぶたにえがきながら、お題目の声に心をのせて、御本尊におとどけするつもりでお唱え下さい。

 所定の数を唱え終ったら、三度ゆっくりお唱えして行をおわります。

 尚時間、場所等制限はありません、どこでも、いつでも工夫してご修行下さい。お経も読みたい方はお題目の前に読んで下さい。  

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