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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

お釈迦さまが説法されたお経は 法華経の他にもあるのですか。

布教研究所所員・豊橋本門寺住職 都築英信


 お釈迦さまは多くの説法をお弟子に遺された。それら一代の説法を中国の天台大師は、説かれた年代順に、

一、華厳時(最初の三十七日)

二、阿含時(十二年)

三、方等時(八年)

四、般若時(二十二年)

五、法華浬葉時(八年一日半夜) と五つの「時」に大別された。これを五時という。そわそれの「時」の中には、大変たくさんのお経が含まれる。 まず一、華厳時は『華厳経』。お釈迦さまが悟りをじょうどう開かれた(成道)時の最初の説法で、悟りの内容をそのまま表現された経典である。だから、大変難解である。

  二、阿含時『阿含経』。お釈迦さまが、お弟子の迦葉尊者や阿難尊者に託して、お弟子方が弘めたお経。阿含は梵語(インド古代語。サンスクリット語)のアーガマの音写で聖教の意味。したがって阿含経はお釈迦さまによって説かれた聖教、さらには聖典の意。

  日蓮大聖人は、このお経が説かれた場所によって、これを鹿苑(初転法輪の地。インドのサールナート)といわれた。初転法輪とは、お釈迦さまの説法のはじめをいう。

  三、方等時には、『維摩経』『勝髪経』『阿弥陀経』などの大乗経典。

  広大な教義をもつことから方等という。『般若経』『法華経』『涅槃経』を除いた大乗経典がすべて含まれる。  

  四、般若時には、『般若経』。般若とは智慧のこと。有名な『般若心経』をはじめとした、これら『般若経』では、般若は実体をもたない「空」であることを説く。

  そして五、法華涅槃時には、『法華経』と『涅槃経』。

  『法華経』は皆さまがよくご存じで、またいつもよく読誦されているお経なので、説明は省くが、おもにお釈迦さま晩年の説法の地、インドの霊鷲山で説法されたお経である。詳しくは『妙法蓮華経』という。

  『涅槃経』(詳しくは『大般涅槃経』)は、お釈迦さま最後の説法の遺言の重みを感じさせる経典。

  お釈迦さまが入滅をふまえつつ永遠の存在を明らかにし、現実的な生き方への対応に苦心がはらわれている。

  このお経は中国に伝えられて、その内容の上から、一代仏教をしめくくる最後の経典として位置づけられる。

  日蓮大聖人は、正嘉二年(一二五八)、駿河(静岡県)の岩本実相寺の経蔵にこもって一切経(すべてのお経)を閲覧され、すべての経典のなかで『法華経』こそが最勝(最高)のお経であることを確認され、命をかけることを決定されたのである。

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