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日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より

人の心は時に随って移り物の性は境に依って改まる

解説:学林教授・大久保  本修寺住職 田中 靖隆

人の心は時に随って移り物の性は境に依って改まる

 今年最後のお言葉は、文応元年(一二六〇)『立正安国論』からの一文です。

 この『安国論』は、「客」の疑問に「主人」(大聖人)が答える問答形式になっています。この一文は、ようやく法華の教えに目覚めた「客」に対して「主人」が言う言葉です。

 人の心は時とともに移ろいやすく、物の性質も環境に応じて変化するものです。今は正しい教え(法華経)に目覚めたあなたも、今の気持ちを維持するのは難しいことです、と説いています。

 一見自分の考えを貫きなさいよ、と説いているように感じます。それではつらいこともあるので、私は少しゆとりをつけて解釈しています。

 大聖人は自然災害などつづく国難に苦しむ民衆を見て、どうしたら人々が楽になるのか、答えを経文に求めます。そして書かれたのが『安国論』ですが、その内容が当時の幕府や他宗を批判する形となり、激しい迫害を招く発端となります。

 ところが、迫害を受けつづけて十年以上が経過した佐渡流罪を機に、自分たちを迫害する者たちを手紙の中などで現す言葉が「ごうてき」から「善智識(法華経の教えに導く人)」へと変わっています。彼らのおかげで法華経の行者となれたのだ、と。

 水にたとえてみると、水は外気の温度に応じてその姿を個体や気体へと変化させます。しかし、水は水です。氷になっても、水蒸気になっても水がお茶やお酒になることはありません。

 いつも氷のままでは叩かれれば割れることもあります。水になれば叩かれても割れることもなく、またどのような容器にも形を合わせられます。矛盾しているようですが、水でいる状態に固執するのではなく、氷の時・水蒸気の時も人生には大いに必要と考えています。変化を認識できること、そしてあくまでも本質は失わずに進むことができるように励みたいと思います。

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