日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
色心二法共に あそばされたるこそ貴く候へ
解説:松吉範員
このお言葉は大聖人様が、文永八年(一二七一)九月十二日に鎌倉幕府に捕らえられた時、しばらくして依智よりお弟子の日朗聖人へ下されたお手紙の一節です。
大聖人様は文永五年(一二六八)蒙古国より我が国へ服従を促す 状がきたことから、幕府が法華経を信仰し他宗を排 しなければ、必ず外敵が攻めてくるとの予言が敵中したとおもわれました。そして再三、幕府や宗教界の責任者など諌め状を送られました。
しかし幕府は文永八年九月十日に大聖人様を呼び出して、問注(裁判のようなもの)をいたしました。 前の執権時頼等が地獄に堕ちたといい、またご政道を批判したという罪状に対し、大聖人様は堂々と反論されたのですが、聞き入られずに終わり、十二日に逮捕されたのでした。
大聖人様は瀧ノ口での斬首を仏天のご加護で免れ、佐渡配流の前夜、土牢に入れられた日朗聖人をいたわり励まされたこのお手紙で、法華経を人々は口では読むが、心や身体で読んで、どのような迫害にも堪え、退しない強い精神力で打ちかつことができないものだがそなたは、立派に不借身命の経文通り行じている。
されば諸天のご加護があるを説かれ め励ましておられます。 末代の私達も、法華経を、お題目を、口に、心に、身に唱え不屈の態度で行じなくてはなりません。