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日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの

一切の善根の中に 孝養父母は第一にて候

出展:窪尼御前御返事(昭定一六四六頁)
解説:学林助教授・岡崎 長福寺住職 牧野真海

一切の善根の中に 孝養父母は第一にて候

 この文章は、大聖人から窪尼とよばれる女性信者に宛ててしたためられた、返礼のお手紙の一節です。
  窪尼はまたの呼び名を「持妙尼」ともいい、大聖人の有力信者だった駿河国富士郡の住人、高橋六郎兵衛入道の妻でした。。夫が亡くなった後は、瓜・枝豆・筍・粽・清酒など、さまざまな品を亡父追善供養のために身延の大聖人のもとに送り、物心両面にわたって大聖人を支援した女性です。ちなみに、大聖人の直弟子(六老僧)のひとり日興上人は窪尼の甥にあたります。
  このお手紙の中で、大聖人は窪尼に次のような故事を紹介します。
「かって中国の春秋時代、西施という貧しい薪売りの娘がいた。山で若菜を摘んでは年老いた母を養っていたが、天はこの親孝行の娘を憐れみ、同じ山に狩りに来ていた越王勾践に見初めさせ、越王の后とさせた」
  西施といえば中国の絶世の美女として有名ですが、大聖人はそんな西施の若き日の孝行を引き合いに出し、あらゆる善行の中で父母に対する孝養に勝るものはないと説かれます。
  窪尼には一人の娘がありました。法華信仰の念篤く、父に恥じない孝行娘でしたが、父高橋入道亡き後は、窪尼にとってはこの娘の行く末が心配でならなかったのでしょう。
  大聖人はそんな窪尼の心中を察し、西施の親孝行の故事を例に、法華経信仰と父母供養に尽くす娘の幸福をことほぎ、さらなる法華経信仰への精進を奨められました。
  優しく、人情の機微にさとく、またウィットに富んだ大聖人のご人格の一面がうかがえるお手紙です。

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