日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
信心の水すまば利生の月必ず応を垂れ守護し給うべし
出展:『四条金吾女房御書』聖寿五十歳(昭定四八四頁)
大聖人を支えた有力な檀徒の一人である四条金吾 。早くからの檀徒でとくに熱心な信奉者でした。その四条金吾の婦人が懐妊したとの報に接し、送られたお手紙の一節が今月のお言葉です。
仏さまは、あなた方のような信心の篤い方には「利生の月」(功徳)を授け、お守りくださいます。必ず安産でありますし、生まれてくる子も両親の身と心を継ぐ玉のような福子であります、という内容です。
信心の水とは、人の心を水面に例えています。私たちの心の水面も、いつも澄んだ水が静かにこんこんと湧き出でていれば、そこに月を映すこともできます。しかし娑婆で暮らす私たちは、あらゆる煩悩にとらわれ、常に自分はどうかと気になることが多く、心の水面もさざ波が立ったり大きく荒れたり、時には水自体が濁にごることもあるでしょう。しかし荒れた水面も濁った水も正しい信心を持てば、やがて波も静まり泥も沈み、澄んだ水に戻って、月はまた姿を宿します。
子孫が繁栄し、信仰が受け継がれることは我々一同が最も望むことです。この仏縁を遺してくださったご先祖さまに感謝をし、その灯火を絶やさぬように励みたいものです。