日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
法華経をひろむる者は日本の一切衆生の父母なり
解説:学林教授・大久保 本修寺住職 田中 靖隆
法華経を弘める行者は、日本国の一切衆生を救済する父母であります。
法華経を弘める行者というのは僧侶ばかりでなく、檀信徒の皆さまのお力こそが、とても大きいと感動することがありました。
二月十一日、富山の別院 本法寺様で、お日待ち法要がありました。今年は本法寺開創七百年の記念ということで新潟県三条市の総本山から、何と鬼踊りの方々が出張で来てくださったのです!
午前十時からの、お日待ちのお経が終わり、総本山から持参くださった豆まき用の「鬼っぱらい豆」が配られ、豆の味見をしながら持経院様のユーモラスな説明を聞いたら、いよいよ鬼の登場です。
太鼓と銅鑼の音とともに、本堂の正面から金色に輝く眼だけを出して私たちを見渡し、ずるずると這って舞台に上がります。黄鬼・青鬼・緑鬼、まだまだ来ます。子どもは茫然、大人も異形の者の恐ろしさと大迫力に一瞬静まりました。そして五匹の鬼と三途川婆さんが登場して、大きな武器をふり回し、十三畳の大舞台も所狭しと舞が始まります。
見事な口上と、鬼が見得を切る度に拍手喝さいの大盛り上がり。一番人気だった三途川婆さんと観客と鬼の掛け合いにまた大笑い。
そうして、ご山主の掛け声とともに、豆まきがはじまりました。日頃肩や膝の痛みに悩む方々も、すっくと立って片足を一歩前に踏み出し、見事なピッチング。落ちている豆まで拾って、投げに投げます。
そして、鬼退治の後は改心した鬼と写真撮影をしたり、握手してもらったり、腕を組んだり、仲よくふれ合いタイムとなり、最後に興奮覚めやらぬまま、くじ引きをして、景品とお餅を頂き帰路に着きました。
遠く三条から富山まで厄を引き受けてくださる尊いお心持ちで来てくださった鬼の奉賛会の方々、本堂いっぱいの参詣者の方を歓待してくださった本法寺の方々、厄や難を鬼とお寺に託し、楽しい気持とお土産を持って帰った参詣者の方々。信仰とは、他者を思いやり喜んでもらうこととは・・・。
本成寺の鬼のすばらしさを再確認、実感し、これまでつづけてこられた方々に感謝、この方々の努力はまさに今月の法華経を弘める行者のお姿です。